REVIEW

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Theme 3 “beret”

テーマ3:ベレー帽

“All stylish girls have a beret.”

素敵な女の子はみんなベレー帽を持っている。

 

9月になり、雨降りの週末を二度ほど過ぎると、朝の空気の匂いが変わるのを感じる。

太陽が少しだけ遠くなり、青空のトーンも少しだけ変わる。

残暑、という言葉はもう随分前の出来事のような朝の涼しさに、なぜか悪戦苦闘した夏の日を懐かしくさえ思うようになったら本格的に秋を楽しむ時期が来たと感じる。

 

ファッションの世界では季節を先取りしたアイテムが夏の終わりから登場するが、毎年初秋にちゃんと登場するのがベレー帽だ。

ベレー帽はヨーロッパの歴史に古くから登場し、16世紀以降は高貴な人々の肖像画にも描かれる。

 

ふちが無く、丸いベレー帽は色々な被り方がある。

日本では映画監督や漫画家などクリエイティブなイメージが多くの人の心に刻まれている。

どんなキャラクターでも人物でも、秋という季節にベレー帽をちょこんと頭に載せると、「芸術の秋」を体現するスタイルになるから不思議だ。

 

日本でベレー帽が少女たちにお洒落なアイテムとして認知されたのは1980年代後半である。フランスの高校に通う少女をイメージしたファッション「リセエンヌ・スタイル」がメディアで話題となった。

 

モノトーンカラーやブラウン系のベレー帽を深めに被り、スナップボタンのカーディガンやワンウォッシュのデニム、ジャンパースカートなどシンプルだが質の良い品々を合わせたシックな装いだ。

ベレー帽はつばがないから、ヘアスタイルも重要だ。前髪をアップしてもいいし、少し斜めに流してもいい。整えられた髪にそっとのっているような雰囲気がやはり素敵なのだ。

そしてベレー帽を被るときは全身のバランスに最新の注意を払わなくてはいけない。

素敵に装うには、足の先までトータル・コーディネートが必要だ。

10代の私は初めて買ったベレー帽を被っては外し、トップスを着替え、ボトムスを履き替え、

正解のわからないパズルに迷い込んだ。

そして結局、ものすごい時間が経ったが今もその正解がわからない。

きっと一度、正解が見つけられた人は、ずっとずっとベレー帽を楽しめるのだろう。

老若男女問わず、街で素敵なベレー帽を被る誰かに、つい目を奪われてしまう。ああ、羨ましい。

いつかおばあちゃんになるまでに憧れのベレー帽を颯爽と被れるよう、今日も研究に勤しもう。

“ Embroidary work and text by Satomin”

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