Manga Review #17
『家が好きな人』 イラストレーターの井田千秋の作品。“コミック&イラスト集”という帯の紹介文に現れているように、ストーリーマンガではなくてイラストを中心にマンガのコマを使って登場人物の動きや時間、小さな物語を加えてみました、といった柔らかな雰囲気の一冊。オムニバス形式で5軒の家や部屋と住人の日常のひと時が描...
REVIEW
『家が好きな人』 イラストレーターの井田千秋の作品。“コミック&イラスト集”という帯の紹介文に現れているように、ストーリーマンガではなくてイラストを中心にマンガのコマを使って登場人物の動きや時間、小さな物語を加えてみました、といった柔らかな雰囲気の一冊。オムニバス形式で5軒の家や部屋と住人の日常のひと時が描...
“散歩”がジャンルとして認められるくらい、散歩を描いたマンガ作品がたくさん見つけられるようになってきた。例えば2000年代前後、谷口ジローの『歩くひと』(小学館 1998年)は、谷口の精緻な筆致で描かれた風景が世界的な評価を獲得した作品。谷口が『孤独のグルメ』でタッグを組んだ久住昌之との『散歩もの』(扶桑社...
『光の箱』 思春期の女子だけに発現する無用力をめぐるコメディ『うちのクラスの女子がヤバい』シリーズや『制服ぬすまれた』(2018年 小学館)、『ベランダは難攻不落のラ・フランス』(2018年 イースト・プレス)など、物語の独特なリズムとシュールな設定で不思議な読後感を与える衿沢世衣子。『光の箱』(小学館 増...
Theme 7 “le faux col ” テーマ7:付け襟 桜の蕾もいくつか開いたことに気づいた瞬間、 空気に甘い花の香りがするような気持ちになる。 東京の春はふんわりと雲が晴れるように訪れる。 春がきたと思った瞬間、世界の全てが解決したような晴れ晴れとした気分になる。 でも、少し歩いただけで、じんわり...
『女の子がいる場所は』 映画化された『LOVE MY LIFE』(2006年 祥伝社)、『愛の時間』(2008年 祥伝社)、『レッド・シンブル』(2015~2017年 KADOKAWA 全3巻)などの作品で、女性の視点を軸に作品を描いてきたやまじえびね。『女の子がいる場所は』は、評論家や研究者、書店やSNS...
『コタローは1人暮らし』 津村マミ『コタローは1人暮らし』は2015年からビックコミック スペリオールで連載中の作品。2021年には関ジャニ∞の横山裕の主演でテレビドラマ化、2022年にアニメ化もされた。電子書籍配信サイトであるコミックシーモアの電子コミック大賞2018で、男性部門賞を受賞している。 この作...
『キラキラとギラギラ』 セカイ系のような重大事件はなく(いまのところは)、スポーツマンガ、バトルマンガでもなく、グルメマンがではない。BLや百合系の要素もない、いたってありふれた学園恋愛モノ、『キラキラとギラギラ』。この作品が注目を集める一番の理由は、マンガを構成要素である絵の表現。“画風違いラブコメ”が『...
『数字であそぼ。』 『読経しちゃうぞ!』『さんすくみ』で神主、僧侶、牧師が家業の若者たちの日常をコミカルに描いた絹田村子。それに続く『数字であそぼ。』のテーマは「数学」だ。数学と聞くとアレルギーやコンプレックスを覚える人もたくさんいるだろう。『数字であそぼ。』は、数学で大きな挫折を経験した主人公が、少しずつ...
Theme 6 “Les Moufles ” テーマ6:ミトンの手袋 新しい1年の幕開けは、冬らしい冷たい澄んだ空気と雲ひとつない快晴。 今年も一年良いことがありますように、と手を合わせてお願いするとき、手袋が恋しくなる。 手袋は昔からエレガントなアイテムだが、ミトンはどこか懐かしく、あたたかな幼少期を思い...
ホテル・メッツァペウラへようこそ クリスマス・シーズンによく似合う、フィンランドのラップランド地方を舞台にした福田星良の初連載作品。フィンランドでも北に位置するラップランド地方。そのとある町にある古くて小さなホテル<メッツァペウラ>。昔は多くの従業員が働いていたが、今はホテルマンのアードルフとシェフのクスタ...