あべけんいちの記事一覧

美術評論

Manga Review #23

『シャングリラ・フロンティア~クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす~』 通信環境の向上とスマホの登場で、ゲームの世界はさらにたくさんの人を引き込んで大きく拡張している。ゲームはテクノロジーがどれほど発達してツールが変化しても、モンスターや敵をいくら倒しても、字義通り遊び(プレイ)が本質だろう。そうしたゲーム...

美術評論

Manga Review #22

骨ドラゴンのマナ娘 龍あるいはドラゴンを思い浮かべてみよう。どんなイメージ=図像が現れてくるだろう? 龍、ドラゴンという想像上の生き物は、古来世界各地の神話や伝説に登場する。ざっくり、東洋では龍は皇帝のシンボルとして、あるいは雨を降らせ水を司る神の使い、龍神など神そのものとして信仰の対象にもなってきた。また...

美術評論

Manga Review #18 

『インク色の欲を吐く』 絵を描くことは人間ならではの表現活動で、そしてマンガは物語を言葉と絵で描く表現である。ルーブル美術館もマンガを建築、彫刻、絵画、音楽、文学(詩)、演劇、映画、メディア芸術に次ぐ、第9番目の芸術としたように、マンガが美術という大きな文化、表現領域に分類されても異論はないだろう。マンガの...

美術評論

Manga Review #17 

『家が好きな人』 イラストレーターの井田千秋の作品。“コミック&イラスト集”という帯の紹介文に現れているように、ストーリーマンガではなくてイラストを中心にマンガのコマを使って登場人物の動きや時間、小さな物語を加えてみました、といった柔らかな雰囲気の一冊。オムニバス形式で5軒の家や部屋と住人の日常のひと時が描...

美術評論

Manga Review #16 『模型の町』

“散歩”がジャンルとして認められるくらい、散歩を描いたマンガ作品がたくさん見つけられるようになってきた。例えば2000年代前後、谷口ジローの『歩くひと』(小学館 1998年)は、谷口の精緻な筆致で描かれた風景が世界的な評価を獲得した作品。谷口が『孤独のグルメ』でタッグを組んだ久住昌之との『散歩もの』(扶桑社...