REVIEW

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美術評論

Manga Review #18 

『インク色の欲を吐く』 絵を描くことは人間ならではの表現活動で、そしてマンガは物語を言葉と絵で描く表現である。ルーブル美術館もマンガを建築、彫刻、絵画、音楽、文学(詩)、演劇、映画、メディア芸術に次ぐ、第9番目の芸術としたように、マンガが美術という大きな文化、表現領域に分類されても異論はないだろう。マンガの...

美術評論

Manga Review #17 

『家が好きな人』 イラストレーターの井田千秋の作品。“コミック&イラスト集”という帯の紹介文に現れているように、ストーリーマンガではなくてイラストを中心にマンガのコマを使って登場人物の動きや時間、小さな物語を加えてみました、といった柔らかな雰囲気の一冊。オムニバス形式で5軒の家や部屋と住人の日常のひと時が描...

美術評論

Manga Review #16 『模型の町』

“散歩”がジャンルとして認められるくらい、散歩を描いたマンガ作品がたくさん見つけられるようになってきた。例えば2000年代前後、谷口ジローの『歩くひと』(小学館 1998年)は、谷口の精緻な筆致で描かれた風景が世界的な評価を獲得した作品。谷口が『孤独のグルメ』でタッグを組んだ久住昌之との『散歩もの』(扶桑社...

美術評論

Manga Review #12

『キラキラとギラギラ』 セカイ系のような重大事件はなく(いまのところは)、スポーツマンガ、バトルマンガでもなく、グルメマンがではない。BLや百合系の要素もない、いたってありふれた学園恋愛モノ、『キラキラとギラギラ』。この作品が注目を集める一番の理由は、マンガを構成要素である絵の表現。“画風違いラブコメ”が『...

美術評論

Manga Review #11

『数字であそぼ。』 『読経しちゃうぞ!』『さんすくみ』で神主、僧侶、牧師が家業の若者たちの日常をコミカルに描いた絹田村子。それに続く『数字であそぼ。』のテーマは「数学」だ。数学と聞くとアレルギーやコンプレックスを覚える人もたくさんいるだろう。『数字であそぼ。』は、数学で大きな挫折を経験した主人公が、少しずつ...